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TESOL@ペンシルベニア大学

University of Pennsylvania 教育学大学院へのフルブライト奨学金留学

アメリカで英語を教える(個別指導第2回)時間制限スピーチとGMO

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大学院の授業の一環として課されている個別指導の第2回。私のtuteeである韓国人大学院生の目標である、「もっと速く賢そうに話せるようになりたい」を達成するため、話す内容と英語の表現と口とがスムーズに連動する経験から「速く話す」感覚を手に入れさせることに主眼を置いた。

今回の80分の流れは次の通り。

1. Warm-up (3/2/1)

3/2/1の手法を用い、同じ内容のスピーチを時間を短縮して3度繰り返す活動を行った。週末に何をしたかを質問し、それについて話すのに2分間かかったため、2度目には1分30秒で同じ内容を繰り返してもらい、3度目には45秒で繰り返してもらった。1度目は考えながら話したためポーズが多かったが、2、3度目はスムーズなスピーチとなった。時間プレッシャーを与え、同じスピーチを繰り返すことで処理速度が高まるという、この活動の意図を説明し、次の活動に繋げた。

2. Monologues with time pressure (3/2/1)

まず、本人にとってなじみのあるトピックで3分間のスピーチをしてもらい、それを2度目は2分間、3度目は1分間に短縮するという活動の概略を説明した。楽しかった思い出や通った高校の説明など、語彙レベルも高くなくなじみのある内容でやることに意義があるため、本人に内容を選択させたところ、先日TEDで観た樹木の研究について話したいと言う。自然科学研究の内容は語彙レベルも高く、思い出のように時系列で話せるわけでもないので躊躇したが、本人が是非それを話したいと強く希望したため、合意した。3回のスピーチはすべて録音した。
3回スピーチを繰り返し、1度目は3分間で話しきれなかったことを3度目には1分間でまとめきった。その後3回のスピーチをその場で本人と共に聞き直した。回数を重ねるにつれ、次の変化があった。

・樹木の生態に関する説明の要約レベルの向上
・全体の構成の向上( and then, ..., and then, ... から、The lecturer started her talk by explaining ... 等の聞き手を意識した話し方への変化)
・語彙レベルの向上
・回りくどい説明から簡潔な説明への変化
・スピードの向上
・空白の時間の短縮
・声のトーンと大きさ、自信

本人が言うところによると、自分が何を話せばいいのか、どう話したらより分かりやすいか、回数を重ねるにつれ何となく分かってきたから3度目は楽だった、とのこと。

当たり前のことだが、fluency development には繰り返しと時間制限が欠かせない。何をどう話すか、母語であれば何度も同じ話を繰り返したことで話が上手になるのは誰しも経験することだが、外国語となるとその経験回数は格段に下がる。まずはその経験を通じ、感覚を手に入れることを重視した。

3. Listening and Speaking (GMO and Monsanto)

遺伝子組み換え食品 (genetically modified organism) とモンサント社についてのビデオを視聴後、その内容について口頭で要約してもらう。


4. Reading and Speaking (GMO and Monsanto)

遺伝子組み換え食品とモンサント社についての別の新聞記事を読み、その内容について口頭で要約してもらう。


5. Discussion (GMO and Monsanto)

ビデオと記事から得た情報を元に、自然環境とビジネスについてディスカッションを行う。ディスカッションといっても二人きりなので、主に私が質問したことに対し意見を述べてもらい、それに対しさらに質問と議論を重ねる。

 

 

 速く話す感覚を身につけることと、実際に速く話せるかどうかは別だ。しかも私のtuteeは、母語でも話すのは速くないらしい。母語と外国語とで、話し方や冗談の頻度や押しの強さなど、同一人物でも差異があるのはよくあることだが、話す速度はどうだろう。

速く話すために必要な要因は脳内処理レベルの向上なのか、話す内容そのものなのか、内容への理解度なのか、口周りの筋肉なのか、脳内の引き出しにある英語の表現ストックの量なのか、あまりにもさまざまなものが複雑に絡み合い、ちょっとよく分からない。さらに目の前の私のtuteeに必要なものは何なのかもよく分からない。手探り状態だが、彼が何か一つでもつかめるものがあればよいと思う。

 

 

 

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