TESOL@ペンシルベニア大学

University of Pennsylvania 教育学大学院へのフルブライト奨学金留学

アメリカで日本語チャット(第12回)今年のまとめ

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今学期最終回の日本語チャットらしく、「今年最も印象深かったこと」をテーマに一人ずつ発表してもらい、その後質問し合ったりした。大学院1年目の人は皆、口を揃えてPennでの新生活とそれまでの経緯や苦労を語り、大学院2年目の人は就職活動とその苦労を語った。

母語にせよ第二言語にせよ、心に強く残る楽しかったことや苦労したことは、相手に伝わるよう必死になって言葉を尽くす。「とっておきの話」は個人によって異なるし、聞き手との関係性にも左右されるためテーマ設定は難しいが、今回は全員がPennの大学院生ということで、感情を共有することができた。

英語を教えている時にも感じたことだが、参加者同士の横のつながりというのは本当に重要だ。言語を通じて人と学び合い、思いと時間を共有する上で、お互いのことを信頼できるというのは大前提だ。

英語を教えているPEDAL@GSEのクラスでは、参加者同士でお互いの家に遊びに行ったりお茶を飲んだりスケートに行ったりしているようだ。異なる国籍の大人が集い、語り合い、授業よりもよほど有意義な時間を過ごしているのではないかと思う。

日本語チャットでも、開始時刻の30分前に有志で集まり、教室前のソファに座り、日本語でおしゃべりしている。日本の大学に4年間在籍し卒業した、日本語が母語と言ってもいいくらいに上級者である中国人学生が、日本語中級者を相手に上手にリードしている。大学院の勉強も忙しいはずなのに、時間とエネルギーの配分がとても上手だ。目の前のやるべきことと、これからの自分への投資と、過去に得たスキルの維持と、純粋な楽しみとをバランス良く選別しているのだろう。アイビーリーグの学生は本当によく学びよく遊ぶと聞いてはいたが、その通りだった。

 

前回、オノマトペや日本語ならではの表現が話題に上ったのを踏まえ、「目が回る」「耳が痛い」といった顔に関する慣用句のゲームを行い、今学期のチャットを終了した。アメリカ人学生が「耳が痛い」を辞書で調べたところ、その定義が秀逸だった。being painfully trueということで、なるほど良い辞書だと唸った。Takobotoというらしい。

Takoboto | Japanese dictionary and Nihongo learning tool

 

別の日に、大学院センターの言語チャットのファシリテーターが集まり、ランチ会をしながら振り返りを行った。フランス語チャットでは、保健センターなど別機関を巻き込んでフランス映画を上映したそうで、普段はフランスの政治や歴史等について自由に語り合っているらしい。私はつい教員の癖で、チャット自体をコントロールしたがり、日本語授業のようにしてしまう傾向がある。もっとおおらかに、語り合いたいことを持ち寄って自由に語り合う場である方がいいのかな、と反省した。

大学院センターのチャット全体を運営してくれているアメリカ人学生から良い言葉をもらったので記しておこうと思う。

Let them take ownership of their learning. It's not a burden. It's a privilege.

 

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