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ニューヨーク州公立大学授業料無償化について

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NY州の公立大学の学費が無償になるというニュースが飛び込んできた。(写真はNYのグランドセントラル駅)

 

money.cnn.com

www.nikkei.com

 

記事によると、64のニューヨーク州立大学 (SUNY, The State University of New York) と18のニューヨーク市立大学、および公立のコミュニティカレッジが含まれるようだ。

アメリカの大学の学費の高騰は顕著であり、民主党のサンダース議員が公立大学無償化を掲げて選挙戦に立ち、多くの支持を集めたのも記憶に新しい。

記事によると、ニューヨーク州の四年制大学卒業生の約59%が借金を抱えており、その平均額は $29,320、日本円にして340万円ほどだ($1=¥117で計算)。

今年からこのクオモ知事の Excelsior Scholarship プログラムを始め、3年間で徐々に拡大する予定だそうだ。2017年は世帯収入が10万ドル(約1170万円)、2018年には11万ドル(約1287万円)、2019年には12万5千ドル(約1462万円)以下の家庭の場合学費が無料になる。

ニューヨーク州立大学の学費を調べてみた。

www.suny.edu

州内の学生で $6,470、日本円にして76万円ほどか。(州外の学生であれば $16,320 で190万円ほどだが今回の無償化とは関係しないだろう。)その他にStudent Feeに$1,590、Room and Boardで $12,590なので、生活費や図書費や交通費を除いても年間で $20,650、日本円で240万円以上かかる。純粋な授業料分が無償になるだけでもかなり影響は大きいのではないか。

ニューヨークで暮らすのは家賃がべらぼうに高い。東京なんて目じゃないくらいに高い。マンハッタンならいわゆるワンルーム(studio)で月に平気で2000ドルとかするらしい。

寮ならもう少し安いだろうとコロンビア大学を調べてみたら、年間で9000ドルほど(学部生)。私の暮らすフィラデルフィアのオンボロ大学院寮で月900ドルだが、学生寮ならどこもきっと似たようなものだろう。私はワンルームでバストイレがルームメイト1人と共同、キッチン無しのため共同キッチンのために学期に100ドル追加で支払っている。キャンパス外なら600ドルくらいから借りられる(3部屋をルームメイトとシェアなど)が、ネズミの家族と共同生活だ。クラスメイトも、煙探知機が数ヶ月鳴りっ放しの部屋や、しょっちゅうお湯が止まる部屋や、Wi-Fiが突如壊れる部屋に住んでいる。ニューヨークに住む友人は、初日は家の玄関のドアがなかったそうだ。

NY州で公立大学の授業料を無償にしたら、ニューヨークにある私立の名門大学であるColumbia(コロンビア大学)やNYU(ニューヨーク大学)やCornell(コーネル大学)に入学を希望するような優秀な学生を呼び込む可能性も高まるかもしれない。私立名門大学の学費は年間300〜500万円(専門大学院であればもっとする)かかるところが多いが、入学時に返済不要の奨学金がつく場合も多くある。それらの奨学金と今回の公立大学の学費無償化とを天秤にかける学生も出てくるだろう。

学生が経済的負担で苦しまずに学問探究や卒業後の仕事や生活に集中できる環境に向けて大きく前進したNY州はあっぱれと思う。若者への教育が充実してこそ、社会としての精神的経済的充足につながると思う。

 

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