TESOL@ペンシルベニア大学

University of Pennsylvania 教育学大学院へのフルブライト奨学金留学

グループワークの乗り切り方

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大学の図書館の開館と同時にグループワークのミーティングに行ってきた。いつもながら、時間通りに到着するのは私だけだ。写真は今日のミーティング場所。ここでスカイプもできる。

今学期の授業はやけにグループワークが多い。授業内のグループワークではなく、課題そのものがグループワークであるため、毎週集まってディスカッションをしたり、ペーパーをまとめたり、プレゼンテーションの準備をしたりしなければならない。

グループワークは楽しいが疲れる

グループワークの良い点は、理解を深め、他の理論や事象や経験と結びつけて考え、課された論文や課題の内容以上のものを得られることだろう。しかもそれは長期記憶と結びつき、本当に自分のものになる。

反対に難しい点は、一人でやるよりも何倍も時間がかかることと、複数の人とスケジュールを合わせようとすると締切よりかなり早くこなしておかなければならないということだ。

例えば、木曜日の「第二言語習得」の授業で課された論文のプレゼンテーションとディスカッションリーディング(プレゼン後、テーマを発展させてクラス全体でディスカッションをする際のトピック設定と実際の運営)を3人グループで行うとしよう。すると、プレゼン当日より1週間前の木曜日の教授のオフィスアワーの間にアポイントメントを取っておき、教授と打ち合わせをする。そのためには遅くとも前日の水曜日にはグループミーティングをしておかなければならない。そのためにはさらにそれより前に論文を読み終え、ディスカッショントピックの叩き台を作っておかなければならない。つまり、プレゼン当日の前の週は、通常の週の分と翌週の分で2倍のリーディングをこなさなければならないということだ。

本来の週のリーディングは適当に…というわけにもいかない。毎週リーディングリスポンス(課題のペーパーを踏まえて発展的なリスポンスを書く。他の論文や理論や経験も織り混ぜる)が課されているからだ。しかも、木曜の授業だが火曜までにリスポンスをオンライン掲示板にアップロードし、水曜までに他のクラスメイトにコメントを付けなければならない。そして木曜当日の授業ではさらなる発展的な話し合いが行われる。

つまり、通常の週のルーチン課題と、翌週のプレゼンテーションのための別の論文の深い読み込みが全く同じ時期に重なってしまうのである。

また、火曜の「第二言語の評価法」の授業でも毎週グループ課題がある。例えばスピーキングの評価法についての論文を数本読み、その上で複数のサンプル音声を複数の評価の枠組みで評価する。5人グループで集まり、それぞれの評価を比較し、評価方法を分析評価してグループ全体として一つのペーパーにまとめ、月曜日までに提出する。ということはグループミーティングは土日になってしまう。5人の予定を合わせるのも大変だし、火曜に発表になる課題を終えるのに数日かかるため水曜や木曜にグループミーティングは不可能だ。

そんなわけで今学期は週末から火曜までが勝負で、土日こそ勉強とグループミーティング。メリハリなく1週間ずっとダラダラ勉強している感じで悲しい。

グループワークは楽しいのだが、仲良し同士でグループを組むわけではなくランダムに割り振られるので、初めましてどうぞよろしくの人とも毎週うまくやっていかなければならない。

火曜日のもう一つの授業「コンテクストの中の文化とコミュニケーション」という授業でも3人グループで英語の授業を行う。外部で普通に授業を行うため、グループメンバーの大学院生同士の問題だけではなく、生徒に対し教える責任もある。最終課題はムービーを作ったりワークショップデザインをしたりするのだが、グループプロジェクトとして行ってもよいし、個人プロジェクトにしてもよい。グループでやる方が良いものができるとわかってはいるが、私は一人の方が気楽だし、最終試験の頃にグループで日程や内容をすり合わせる苦労を想像するとちょっと無理なので、私は個人プロジェクトにするつもりだ。しかし前回の授業でクラスメイトに「一緒にやろう!」と声をかけられた。お互いのやりたいテーマを知っているわけでもないのに一緒にやろうと声をかけてくる人(しかも名前を知っている程度の仲)とはうまくやれる気がしないので断ったが、異なるバックグラウンドを持つ人と一緒にグループワークを行うのは結構大変だ。

 

グループワークを乗り切る2か条

あくまで個人的な見解だが、さまざまな国籍、文化背景、事情、性格の人たちとグループワークをする際に心がけるべき2つのことがあると思う。

寛容さというかあきらめというか図太さ

時間について

私の属するグループでは、時間通りに集合場所に到着するのはいつも私一人だ。最初はイラッとしていたが、他人の行動は変えられない。イラつくだけ損だ。今日も1時間しかグループスタディールーム(上の写真)を予約できなかったのに20分遅れて来るメンバーがいた。前回も、別のメンバーが20分遅れてきたあげくにパワーポイントのファイルの入ったメモリを自宅に置き忘れて取りに戻った。

文句を言っても状況は変わらないし、人間なので寝坊や忘れ物は誰しもあること。したがって重要な点は、その「無駄になった空白の時間」をどう使うかだ。

私はいつも、みんなが遅れて来ることを想定し、その隙間時間のうちにできることをやってしまう。上記のリーディングリスポンスへのコメント書きや、翌週の論文のダウンロードなど、いずれにせよやらなければならない細かなことはいくらでもある。グループワークで人が集まらなくてイライラするのは、自分の時間が無駄にされていると感じるからなのと、限られた時間を有効に使えないからだ。それならば、一人でできることや、いるメンバーだけでもできることを考え、建設的に時間を使えばいい。

というか、そう考えないと、あまりにも遅刻率が高すぎてやってられない。これはお国柄なのか、それとも学生さんだからなのか?

内容について

グループ内に一人は必ずいる、論文を読んでこない人。または、理解が十分でない人。これもあきらめが肝心だ。論文を読んでこなくても死ぬわけではないので読み込んでこない人もいる。体調が良くなかったのかもしれない。さまざまな事情があるだろう。読んでこなかった事実は変えられないし、「次からは読んできてくださいね」なんて小学校じゃあるまいし、とにかくこの切羽詰まった状況をどう打開するかだ。

遅れてくる人を待っている間に概要をレクチャーした時もあったし、みんなで共通認識を持っているかどうかをミーティング冒頭に確認し合ったこともある。人に説明することで自分の理解も深まるし、グループ全体で議論のベースを構築できる。むしろ読んでこない人がいることを逆手にとり、グループにとってプラスになることをやっていくしかない。成績はグループで一律につけられるのだから。

 

公平に課題を分配すること

1つ目の「寛容さ、あきらめ、図太さ」は心構えというか物の考え方だが、2つ目は実際のグループワークの運営の仕方だ。公平さ、これに尽きると思う。

3人グループのプレゼンテーションは、論文を3つの部分(これまでに判明している理論、実験手順、結果の解釈)に分け、それぞれ担当を設定している。プレゼン時間も公平に分配した。これはすべての話し合いが終了した後に担当箇所を決めた。そうしないと他人事になってしまい、エンゲージメントに差が出るからだ。

5人グループで毎週行っている評価法のグループ課題は、グループミーテイング時にGoogle Doc. でファイルを作成し共有し、話し合いながら5人で同時にファイルに書き込んでいく。話し合った内容をお互いにその場で補完しながら課題を作り上げる。すべて終了した後に、その課題を4つの部分に分け、4人に分配する。つまり5人全員の考えと話し合いの結果が少しずつ1人ずつに分配されるということだ。4人は各自自宅でその話し合いメモを文章化し、まとめた上で再度 Google Doc. にアップロードし共有する。締切時間を設定し、4人全員の文章が出揃ったところで残りの1人がフォーマットや体裁を整えて教授に提出する。これを毎週順番に役割を交代しながらやっている。

これは非常にうまくいっており、私以外の4人は全員2年生で知らない人ばかりなのだが、ルールが明確なことと公平な分配から、不満は全くない。ただ一つあるとしたら、あまりのマシンガントークに私が口を挟む余地があまりなく、彼らにとって私がお荷物で、私の貢献度が低いと思われているかもしれない。そこで私は、とにかく早く自分の担当箇所を終わらせて誰よりも早くアップロードすることと、論文をきちんと読み込んで5人の議論内容に理論的裏付けをするコメントをするように心がけている。

細かなことだが、ルールを明確にすることは複数人で1つのことをする際には本当に重要だと思う。担当者名、担当箇所、締切時間、行数や語数制限(課題全体で何枚以内、と制限されているため)など、面倒でもどこかファイルの余白に全員が共有で見られるようにしておくことで不要なトラブルは避けられる。

 

さて、明日はグループプレゼンテーションとディスカッションの運営がある。本来ならば先週の木曜日のはずだったのだが雪嵐で休講になったため、今週にずれ込んだ。プレゼンを行うこちらも聞く方のクラスメイトも、内容を忘れかけているのではないかと心配だ。しかも内容は「第2言語の、第1言語に及ぼす時間概念の構築への影響」ということで、認知言語学や心理学、脳科学と関連する実験論文。簡単に言えば、外国語を学ぶことでもたらされる思考パターンの変化だ。面白いが難しい。うまくいくといいな。

 

 

 

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