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TESOL@ペンシルベニア大学

University of Pennsylvania 教育学大学院へのフルブライト奨学金留学

アメリカ大統領選余波 大学院での話し合い

大統領選を終え、大学内でさまざまな会合や話し合いの場やカウンセリングの場が設けられている。

選挙翌日の水曜日の夜にはトランプ当選に対するsolidarity walkが学内で行われ、冷たい雨の中数百人集まったようだ。私の所属する教育大学院の中のTESOLプログラムの長からこのイベントの案内が来たのだが、大学院のプログラムとして政治的立場を明確にしていることに驚いた。私はcitizenshipをもつわけではなく気が引け、参加しなかったのだが、参加した友人によると、行進中に "Trump won, you're defeated!" (トランプの勝利だ、お前らの負けだ)と道から野次が飛んできたそうである。

翌日の木曜日に行われた、大学院のcommunity gatheringに参加した。今回の選挙結果を受け、自由に語り感情を吐露できる "safe space" (本流とは異なる意見や立場をもつmarginalized peopleが集まり、語り合う場)でどんなことが語られるのか興味があったのと、私自身がアジア人で女性で留学生というマイノリティであり、居心地の悪さと恐怖心をすでに感じていたからである。

このような会合はさまざまな大学で行われている。NYUでは教室内におさまりきらないほどの学生、教授が集まったそうだし、UCバークレーなどでも同様の動きがあった。西海岸と東海岸がアメリカの総意ではないということが今回の選挙で半ば痛みを伴ってあらわになったわけだが、こうしてペンシルベニア大学も、東海岸リベラル代表のような大学らしくさまざまな機会を設けている。

 

そしてその空間では、さまざまな語り合いが行われた。

KKKのいるインディアナ出身の女子学生は、生まれて初めて故郷に帰るのが怖いと涙ながらに語っていた。KKKの前の代表がトランプ支持を表明していたのだが、そのような団体を引きつける人物が大統領に選ばれることがショッキングであると話した。

ある男子学生は、9.11の翌日に感じたのと似た、なんともいえない重苦しい空気を翌日に感じたと語った。

またあるアフリカ系アメリカ人の女子学生は、トランプの当選に多くの人が驚いたことにむしろ驚いた、自分にとって今回のことはconfirmationやaffirmation、つまり確認にすぎない、と語っていた。

またある男子学生は、白人男性として信頼を回復する責任を感じる、白人優位主義をはびこらせてはいけないからそのために自分も何かをしなければと語っていた。

怒りが勝ち、暴力が勝ち、無知が勝ち、反知性主義が勝ったと嘆く男子学生。

自分が自分であることを否定する人がこの国には半分以上いるということが判明し、どう生きていけばいいのかと悲しむ女子学生。

white supremacy とか whiteness という白人至上主義をトラウマのように憎みポリティカルコレクトネスを追求する人がこのように周りに沢山いる一方で、選挙結果は正反対である。自分の暮らすこの恵まれた環境はなんと狭く小さく偏っていることか。アメリカの抱える格差問題とマイノリティ差別の深刻さは留学生の私の想像以上である。

 

私自身、すでに居心地の悪さを感じている。大統領選2日後に、近隣のテンプル大学に英語の授業見学に出かけたのだが、キャンパス内のレストランでうどん定食を食べていると、ホームレスの男性に目の前に座られ、小銭をせびられた。

Noと言い無視していると、腕を掴まれお金を要求された。テラス席ではない、レストランの内部の席でだ。従業員もホームレスを追い出さず、他の客も見て見ぬふり。席から立ち上がり Stop it! と怒鳴り自力で追い払ったが、こんなこと一つとっても、「私がアジア人で女性だからだろうか」「選挙結果がマイノリティ差別を後押ししているのではないか」「これから大っぴらに外国人排斥が始まるのだろうか」と考えてしまう。選挙前なら、「従業員、ちゃんと追い出してくれよ」と思うだけだっただろうに。ヘイトが自分にも向けられていると感じ、悲しい。

 

ちなみにうどんにはアメリカ人がやたら何にでも入れるブロッコリーが浮いていた。もちろん生のブロッコリーだ。

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