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TESOL@ペンシルベニア大学

University of Pennsylvania 教育学大学院へのフルブライト奨学金留学

アメリカで日本語チャット(第9回)建築と起業

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今週の日本語チャットはサンクスギビング直前のため参加者が少ないながらも、上級者同士の活発なおしゃべり会になった。先週末にあったボストンキャリアフォーラムに参加した学生の報告から始まり、話題は多岐にわたった。

日本の建築デザイン事務所で働いたことのある学生の体験、建築と材料工学の関連、3Dプリンターとデザイン、韓国の若者の職業観と兵役との関連、中国の若者の職業観と大学受験、日本の若者の職業観や人生観と留学との関連等、ご近所3カ国の共通点と相違点を中心に話が弾んだ。

中でも、隈研吾氏の建築事務所でインターンとして勤務経験のある学生の話は興味深かった。隈研吾氏といえば、新国立競技場を設計した建築家ということで、私のような者でもお名前は存じ上げている。その学生のインターン時に、氏が西武鉄道の車両を丸ごとデザインしたとのことで、初耳であった。新国立競技場の木組みの設計が印象的だったので、それを尋ねると、氏はスターバックスを木組みの外観で設計したこともあるそうだ。

それにしても、日本語を母語としない学生が「木組み」と真顔で連呼するのを見ると多少の違和感と驚きを感じる。日本語母語話者である私は、木組みという言葉を人生で数えるほどしか発したことがない。その学生は建築士であるため通常の業務用語なのかもしれないが、思いがけず日本の伝統工法とその美しさや頑丈さを語り合うことになった。

3Dプリンターの発達により建築とデザインの幅が格段に広がり、独立して起業する人も増えるのではないかとのこと。その言葉を聞き日本におけるアントレプレナーシップを思った。日本でアントレプレナーシップは低迷しており、むしろ日本は改善改良、よりコンパクトでスマートに、と既存のものを磨くことで発展してきたように思う。そしてそれが日本の強みと美徳であるとも思う。しかし、新たなモノが毎日のように出現し、それがめざましいスピードで日常生活に組み込まれていく現代社会において、柔軟性と冒険心をもって世の中をリードしていくアントレプレナーが現代の日本にいたら日本はもっと面白くなりそうなのにな、とも思う。テスラのイーロンマスクはペンシルベニア大学のウォートン出身であり、その事業は自動運転車やペイパルから宇宙事業まで幅広い。しかも、そのいずれもが日常生活や現代社会に深く入り込んでいる。彼のような起業家は今後日本でも生まれるだろうか。

そんな話で45分ほど盛り上がった後、もう一人の日本語チャットファシリテーターの提案で、ミニゲームを行った。有名人の名前がポストイットに書かれてあり、それが誰なのかは自分以外の全員が知っている。そしてそれを背中に貼られ、名前を見ることはできない。その人物が誰であるのか、「はい」か「いいえ」で答えられる質問のみを周囲に尋ねることで推測する。

上級者のみだったのであっさりと正答にたどり着くことができた。質問回数を制限することで、より質問を厳選し、頭を使うことになるだろう。しかし、今回は時間制限を設け、より早く質問を考えつき正答を導き出すために多く発話することを重視した。

今週は、日本語チャットのレッスンというよりは、日本語を用いた交流会といった雰囲気で、参加者もファシリテーターも区別なくおしゃべりに熱中した。建築の話題のほか、中国で「日系女子ファッション」が流行していることについても盛り上がった。私はというと、アメリカに来てからジーンズにスニーカーにパーカーという身なりで、ヒールたこもすっかりなくなり喜んでいたが、同時に少し複雑な気分でもあった。