TESOL@ペンシルベニア大学

University of Pennsylvania 教育学大学院へのフルブライト奨学金留学

コロンビア大学インフォメーションツアー

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コロンビア大学のインフォメーションセッションに参加してきた。卒業式を控えているため、図書館前の階段は式場準備中。

Information Sessions | Columbia Undergraduate Admissions

 

先日プリンストン大学とペンシルベニア大学のインフォメーションセッションに参加した時、各大学によって方針や求める学生像が全く異なることを実感した。

 

upenntesolfulbright.hatenablog.com

今後日本の高校に復職する際、アメリカの大学への進学希望者に対し正確な情報を得ておきたいと考えたのと、2年前に3学年の担任だった時に実際にコモンアプリケーションを用い出願した生徒の guidance counselor として書類を整えた時に、欲しい情報が思うように得られず、自分で直接質問した方が早いと思ったからだ。

 

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この日の参加者は私も含め5組10名。夏休み期間のためか、キャンパスツアーが開催されないことが少人数参加の理由ではないかと推測する。小さな部屋に案内され、こぢんまりとした会のため、アドミッションディレクターが参加者全員に自己紹介を求めてからの開始となった。

3組はアメリカの高校生の親子、1組はインドの高校生の親子、そして私だ。フレンドリーな雰囲気の中、一つのテーマの話が終わる度に質問タイムが設けられ、矢継ぎ早に詳細な質疑応答がされた。

 

以下にこの日のインフォメーションセッションでされた内容の概要を書くが、大学に関する正確な情報は、必ず公式情報と、直接コンタクトをとって確認していただければ幸いだ。

 

コロンビア大学の成り立ちについて説明があり、 Columbia University ではなくColumbia University in the City of New York と所在地を明らかにしている理由と、NYにキャンパスを置く意義とそこから生まれるアイデンティティについて話がされた。

教授1人に対し学生4人の割合で徹底した少人数制の元、長年続くコア・カリキュラムを採択している。このコアで、自己及び他の学生や教授陣とのアカデミックで知的な対話を通じ、リベラルアーツにおけるクリティカルシンキング(批判的思考力)を育てる。人間とは何か?社会を形成するものは何か?等について、週に1冊読むペースで考える。

 

留学を推奨しており、36%の学生が留学する。夏休みも含めると43%が留学する。

 

キャンパス内には Columbia College と Columbia Engineering があり、アドミッションは別ではあるが、同一キャンパス内にあることで互いにコラボレーションが可能。Engineering Plus を重視している。例えば以前の卒業生には、学部で応用物理学を専攻し、マイナーで英文学を専攻し、その後英国の大学院で英文学を学んだ後、映像製作会社の Pixar で働き、応用物理学を映像に活用し、英文学をストーリー制作に活用している人がいるそうだ。

 

アドミッションや出願プロセスについても話があった。 GPA ではなく、自分の環境をどのように生かし、活用してきたのかを見たい。自分という人間は何者なのか、何をしてきたのか、できるだけ specific に書いてほしい。そのためにサプリメンタルエッセイを課している。

2つのよくある志望理由は「ニューヨークにあるから」「アイビーリーグだから」である。その理由では、なぜあなたがここに fit するのか説明できていない。あなたは誰なのか、なぜコロンビアなのかを書いてほしい。

プリメディカルプログラム志願者は、その適性を判断したいので関連する内容に言及すること。

 

その他、SAT やACT のスーパースコアの扱い、学部生の寮、奨学金等についても説明があったが、公式HPで明確に書かれていることなのでここでは詳細は省く。

 

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個人的な感想としては、ニューヨークで過ごす意義とアドバンテージ、そして知的な対話というのが印象的な素敵な大学であった。

 

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NYでハマチ丼を頼んだら

春学期が終わり、3泊4日でニューヨークに行った。ニューヨークの日本食は本当にレベルが高く、前回行った際に食べた蕎麦の香りが忘れられず、今回も日本食レストランばかり巡ってきた。

すき焼き丼で元気をもらい、日本と全く変わらぬ焼き鳥に感動し、炙り締め鯖で思わず旨いと声が出て、じゃこ高菜ご飯にホッとし、香り高い蕎麦とサクサクの天ぷらに驚き、めかぶ納豆でビールが進み、一風堂のラーメンに並んだ価値があったと納得し、明太子おにぎりに本気で泣いた。さすがNYである。駐在の日本人サラリーマンが大勢いるお店は間違いない。

 

ところが、あまりに疲れすぎて近場で適当に済ませようと思ったある日、怪しげな日本食レストランに飛び込んでしまった。

そもそもアメリカには、おかしな日本風の食べ物が多い。最近よく見かけるのはスシ・ブリトーである。ヒバチとかいう炒め物もなんだか流行っているし、bento box は色々少しずつ食べられるメニューの定番だし、テリヤキに至っては何でもかんでもテリヤキである。照っていなくても焼いていなくても、テリヤキソースをかければTERIYAKIである。 TERIYAKI everywhere である。

 

そして飛び込んだ日本食レストラン。メニューにハマチ丼を見つけ、迷わずオーダー。白のグラスワインも2種類選べ、期待も高まる。

そして出てきたものがこちら。

 

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ハマチ丼だそうだが、どう見てもハマチライスである。

しかもツマは大葉ではなくサニーレタスである。

 

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食後、ウェイトレスのお姉さんが感想を求めてきたので美味しかったと答えたついでに勇気を出し、どんぶりの意味を知っているか尋ねてみた。知らないと答えるので、どんぶりとは bowl のことだとお節介ながら言ってみた。

それは申し訳なかった、と奥に引っ込んだウェイトレスのお姉さん。板さんに伝えた、これはサービスだと言ってフルーツを出してくれた。なんだかこちらが申し訳なかった。

 

昔、学部時代にカナダの大学に留学した時、キャンパス内の日本食レストランに随分お世話になった。そこでのお気に入りメニューは Oyako Don だった。すき焼き風に煮た豆腐と野菜と春雨の大皿と、ライスのセットだった。親子でもなければ丼でもなく、言うなれば豆腐と野菜の煮込み定食なのだが、毎回 Can I have Oyako Don, please? と注文していたことを思い出した。

 

「丼」は、アメリカで定着する要素を複数持ち合わせていると思う。手軽、持ち運べる、スプーンで食べられる、バリエーションが豊富、などだ。アメリカ人がランチにサラダボウルを手に持って歩いているのと同じ感覚で、丼を持ち運ぶようになればいいのにな、と思う。

 

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難民に英語を教える その3 給与明細の読み方と税金

アメリカに難民として入国した大人が対象の英語レッスン。この日の中級クラスの参加者は4人。まずは紙を折ってネームタグを作ってもらい、各自の席に置いてもらった。イントロダクションとして、今回初参加の私が自己紹介スピーチをし、それに基づいた質問を3つ用意しリスニングチェックを行う…予定だった。

いつも教えている先生は、「生徒は私の英語に慣れてしまっているので、初めて会う人の英語を聞くのはとても良い練習になる」と言ってくれた。そこで、できるだけ平易な英語を用い、発音等にもいつも以上に気をつけ、一人一人の生徒の顔を見ながらゆっくりと日本と私のことを話した。

去年教えていたPEDAL@GSEの生徒たちと異なり、スピーチで間をとるたびに質問が飛んでくる。それがこの英語のクラスの雰囲気なのだろう。日本から来たと話した途端に、「アニメは何が好きですか」「地震大丈夫でしたか」「道徳の時間が学校であるんでしょ」「失礼な質問かもしれないけど、日本人と韓国人と中国人の見分けはどうやってつけているの」と矢継ぎ早の質問。

アメリカでは「質問をしない人はその場にいないのと同じ」と言われるほど、質問をしアクティブにエンゲージすることが重視される。それにしても、この生徒たちはアメリカに入国して3日とかである。この好奇心たるや。

中には「日本には信号がないんでしょ?信号がなくても平気なくらいに、人と社会の仕組みが整っている」と言ってきた人もいた。

東日本大震災の際に電線が切れ、停電し、信号が点かない交差点で警察官もそこにはおらず、歩行者が互いに協力しながら交差点を渡った話を生徒たちに話したが、日本のイメージは面白いくらいに「きちんとした日本人」である。

 

生徒のスピーキング能力は4人とも高い。時に "Japan is an iceland, isn't it?" などと尋ねられ、「アイスランド?どういうこと?」と思うとどうやら iceland アイスランドではなく island アイランドと言いたかった模様で、そのような勘違いはあるにはあるが、よどみなく英語が出てくるレベルである。自国で専門職に就いていた人もいる。

 

イントロダクションの後には通常のレッスン。今日のテーマは Jobs と Paycheck である。前半はテキストの絵を用いながら、job responsibilities についてディスカッションする。例えば、「タイムカードを押す」「制服を着用する」「チームで協力する」「手を洗う」などの行動と、職種や仕事内容をマッチングし、ディスカッションする。language target は Do we have to...? や Am I allowed to...? で、そこから発展させ What am I allowed to wear? などの表現に繋げていく。

生徒は概してスピーキング力は高いがライティング力はそこまで高くない。4人が正確に書けるよう、一人一人を見て回る。

後半は Paycheck の読み方である。paydate, pay period, rate of pay, total gross pay, total deductions, net pay などがそれぞれ何を意味するのか、生徒に質問しインタラクションを交えながら説明する。

税金の種類も複数ある。Federal Tax, State Tax, City Tax それぞれを説明する。さらに、アメリカで Big 4 と呼ばれる benefits の説明もする。health insurance, transportation, sick & vacation days, retirement がそれにあたるのだが、そこから質問がありさらに social security の話、さらにはメディケアとメディケイドの違いについても話が及ぶ。生徒の食いつきが明らかに前半と異なる。生きていくために必要な内容なので必死だ。

 

アメリカに住んでいても私はただの留学生、保険については詳しくない。でも生徒にとっては自分の給与や保険は非常に大きな関心事だ。英語を教える者として「詳しくないから教えられない」と言っていられない。

PEDAL@GSE で教えていた時にも感じたことだが、アメリカで英語を学ぶ大人の目的は、生きていくために必要な道具を手に入れることなのだ。

英語が話せなければ、書けなければ、「英語を話す必要も書く必要もない仕事」しか選べないのだ。特に自国で専門職として働いていた人にとっては、英語次第で自分の専門を生かせるかどうかが決まる。

 

この機関には、毎週新たな生徒が入ってくると同時に、毎週誰かが来なくなる。アメリカで仕事を見つけて働き始めたら、昼間に行われるこのレッスンには来られなくなるのだ。

生徒が無事に仕事を見つけることができるのはとても喜ばしいことで、自立への一歩を踏み出す手助けが少しできたかなと思うのだが、問題は山積している。

その仕事は十分暮らしていけるだけの給与なのか。入国して数週間から数ヶ月で仕事を見つけるため英語力が十分でないまま得た仕事なので、一日中誰とも英語を話さない仕事のこともある。そして数年後、転職や給与アップを望んでも英語力は入国時のままのこともある。

 

この機関は移民や難民がいつでもアクセスできるコミュニティ形成の役割も担っているのだが、資金やヒューマンリソース等、抱える問題は複雑だ。

フィラデルフィアは公立図書館で無料の英語レッスンを開催したり、料理教室兼英語レッスンにしてアクセスしやすくしたり、子どもの宿題を手助けしてくれるオンラインサービスが毎日夜11時まで提供されていたりと、市からのサービスも手厚い。しかし実態は、ボランティア頼りの面もある。無料英語レッスンの先生は私のような学生が多いし、宿題サポートサービスもボランティアによる。

 

助け合って暮らす尊さと難しさ、生活と仕事のための英語習得とそれに伴う矛盾。そんなことを感じたレッスンであった。

 

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