留学トラブル2 バスルームシェアとキッチンシェア
アメリカの大学寮は巨大だ。何棟もあるし、大学院生専用寮もある。
もちろんキャンパス外で部屋を借りることもできるし、ペンシルベニア大学の場合その方が割安だ。渡米前にオンラインで部屋を探し、大家さんとスカイプで面談し説明を受け、日本にいながら契約をする人も多い。facebookで同じ国籍の人同士でルームメイトやシェアメイトを募集していることもよくある。
大手サイトも大量にあり、オンラインで部屋の様子を確認し、家の周囲の通りの様子も見ることができるし、ルームメイトと面談することもできる。便利な世の中になったものだ。近所の犯罪発生状況もオンラインで調べることができる。下のサイトがその一例だ。
サブレットの部屋を探せば格安で住むことも可能だ。ただし、サブレットだと大元の家主や業者と契約を交わさず個人間でのやり取りで部屋を決定することが多いため、問題が複雑になりトラブルになっているケースも耳にする。
ペンシルベニア大学での寮生活はその点は楽だ。割高だが、契約は明瞭、光熱水費込み、WiFi付き、洗濯機乾燥機付きでしかも無料、修理依頼は一括大学へ。授業で私の通うメインの建物へは徒歩2分。
しかしもちろんトラブルもある。今日はバスルームとキッチンのシェアについて書く。
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ルームメイトとのバスルームシェア
掃除問題から異文化間交渉
私の暮らす寮には3種類の部屋があるのだが、私の部屋は独立しているワンルームでキッチン無し、バスルームだけを1人の隣人とシェアする最安の部屋で月900ドルである。
私は自分のテリトリーが乱雑でも気にならないのだが、公共の場が汚れていることがどうしてもストレスで、お掃除おばさんと化してせっせとバスルームを磨いている。
しかしバスルームをシェアしているルームメイトはシャワー使用後、洗面台のあたりまでフロアを水浸しにする。うっかり足を踏み入れてしまうと自分の部屋まで濡れてしまうほどだ。しかも硬水だからか、乾くと水の跡が残ってしまうから厄介だ。さらに、ルームメイトのロングヘアがあちこちに大量に散らばっている。
2人で共用なのでお互い様だし掃除くらい、と思い後始末は私がしていたが、毎度となるとモヤモヤもたまっていた。いつものように濡れたフロアを掃除しているとルームメイトが気づき、バスルームのもう一方のドア越しに話しかけてきた。
「いつもあなたが掃除していて悪いわ。
私も掃除した方がいい?
掃除用品買ってきて置いておこうか?」
そうかなるほど。私、バスルーム掃除好きな変な日本人だと思われていたのか。
ルームメイトと話し合わず、そのくせ不満を抱えて一人でモヤモヤしている察してちゃんだったわけだ。言わなきゃわからないよね、そうだった、そのために口が付いてるんだ、と思った。あまりの考え方の違いに笑ってしまった。
その後話し合いをし、大人同士お互いに気持ち良く過ごせるように最大限努力する、というなんとも曖昧な約束をした。その結果、お互い競い合うように掃除をし、スーパークリーンバスルームを維持している。
ルームメイト彼氏問題
ルームメイトの、州外に住む彼氏が定期的に遊びに来る。引越しの際にその彼氏と話もしたし、微笑ましく思っているのだが、いざ一緒にバスルームをシェアするとなると地味に消耗することがある。
ある時は洗面台に置いている私の歯磨き粉が行方不明になった。ルームメイトに尋ねたところ、なぜかルームメイトの彼氏の鞄から出現した。使っても全然構わないが元の場所に戻してほしい。
2人でシェアしているバスルーム、3人でシェアするとなると朝は取り合いである。というか向こうの2人に取られっぱなしである。
ルームメイトの彼氏のトイレの使い方に絶句したこともあった。
シャワールームの使い方はルームメイト以上にひどく、どうやったらこんなになるのだろうと心底疑問に思うほど、バスルーム全体のフロアが水浸しになる。
バスルームにいながら向こうの部屋と大声で話をするので声が筒抜けで、翌日締切のペーパーを書いていた私はたまりかねてバスルームのドアを叩き、Heeeeey! Can you guys talk in your room!? Thanks! と怒鳴ったこともある。
寮のフロアでのキッチンシェア
私の部屋にはキッチンがないため、寮に住む希望者で共同キッチンを借りており、学期ごとに追加で100ドル支払っている。寮は22階建てで、上下3フロアに住む8人で共同使用だ。キッチンと言っても、キッチン付きの普通の空き部屋である。
ちなみに、キッチンとリビングルームとバスルームを1人のルームメイトとシェアするダブルルームは月額1人あたり1000ドルだ。専用のキッチン、リビングルーム、バスルーム付きの1人部屋だと月に1500ドルかかる。今回の共同キッチンは、この1500ドルの空き部屋を開放してもらっている。
使用前からキッチンがカオス
共同キッチン使用前に8人で顔合わせをし、清掃や消耗品や冷蔵庫の使い方などを話し合ったのだが、最初の数週間はさまざまあった。
部屋の鍵が開いていて、見たことのない人がソファでくつろいでテレビを見ている。
知らない人が大勢でパーティーしている。
奥の部屋のドアをきっちり閉めて何事か行っている。
トイレに落とし物がある。
誰のか分からない炊飯器がずっと保温中である。
いつのか分からない食品が冷蔵庫に放置されている。
3つのコンロのうち2つが壊れている。
顔合わせをし、みんなでキッチンに行ったその時から所属不明の食品群とトイレに落とし物があったため、寮の全体管理部署に連絡して処理を依頼した。
しかし管理部署は冷蔵庫内の食品は関知しないとのことだったので、有志で集まり、冷蔵庫内断捨離を行った。
後から聞いた話によると、昨年度にキッチンを使用していた人たちの鍵を回収せず、出回っていたらしい。
使用者もカオス
8人でキッチンをシェアしているとやはりいろいろある。
使用した調理器具をシンクに数日間放置する。
コンロを汚したまま放置し、煙を出す。
アルミホイルを電子レンジでチンして火花を出す。
謎の乾麺が部屋中に散らばっている。
冷凍庫に詰め込みすぎでドアが開いている。
生肉がラップもせずむき出しで冷凍庫に突っ込まれている。
冷蔵庫内には炊飯器の釜がむき出しで突っ込まれていて米がカピカピになっている。
名前を書いて入れておいた食品が冷蔵庫からなくなる。
寮生活あるあるだ。
私は自分の部屋にミニ冷蔵庫を置き、共有冷蔵庫に入れているものは白菜やキャベツなどの大きな野菜だけにして自衛している。
(追記)
これを書いた4日後に、共有冷蔵庫に入れておいた白菜が1玉まるまる消えた。日本で手に入れられるような立派な白菜ではなく、可愛らしい小玉白菜ではあるが、きちんと白菜で、重さによるが1玉3ドル以上する。アンチョビと白菜のパスタを作ろうとウキウキしながらキッチンに行って白菜が消えている悲しさは言葉では表せない。
ちなみに白菜は英語で Napa Cabbage という。ナッパである。
おまけ 昔経験したカナダでの男女共同バスルーム
大学時代に留学していたカナダのヨーク大学の寮は、フロアでバスルームとキッチンが共同だった。フロアの中央のバスルームにトイレが4〜5つ、シャワールームが3つ、バスタブが1つあり、同じフロアに住む20人ほどで共同使用だった。
男女一緒のフロアだったため、当然バスルームも男女一緒である。
海外にはよくあることだが、トイレのドアは日本と異なり膝下が見える。シャワールームのドアも同様で、上も下もオープンだった。
そんな状況での男女一緒のバスルームだったため、さまざまあった。
誰がトイレに入っているのか足元で判別できるので、いたずらで上からトイレットペーパーを投げ込む学生がいる。
トイレ後の臭い消しのためにマッチを擦るカナダ人が多く、個室でボヤ騒ぎを起こす。
シャワールームのドアの高さよりも背の高いカナダ人が多くいて、シャワーを浴びていると上から目が合う。そしてハーイと声をかけられる。
シャワーを浴びた後、男子学生はパンツ一丁かバスタオル一丁でそこら辺を歩き回る。
シャワーを浴びた後、女子学生の中にはバスタオル一枚でそこら辺を歩き回る者もいる。
コモンルームという、各フロアにある、ソファとテレビのある共同スペースにパンツ一枚やバスタオル一枚の姿の男女学生が多数集い、ナチュラルにテレビを観ている。
海外の寮で生活すると自分の常識からは考えられないことに遭遇する。他にも(ここには書けないような)さまざまなことがあり、私はカナダの大学寮は耐え切れず半年で出てハウスシェアをした。まあ、そこでもさまざまあったわけだが、寮よりは快適だった。犬猫と共同生活で癒されたし。
今はもう大人になり、トラブルがあっても生徒に話せるネタが増えたと喜んでいるくらいだが、博士課程に在籍する人や、人生に関わる研究生活を送る人や、お子さん連れで留学する人は、どうか住まい選びは慎重にしてほしいと思う。安全と清潔と心の平穏のためにはある程度の住まいレベルが必要で、それらはお金で買うことができる。
教訓2 快適な留学生活にはルームメイトとの条件の話し合いが必須。安全と清潔はお金で買える。